― 受験期における「見えている努力」と「実際の行動」のズレについて ―
受験期において、保護者の方が「やってほしいと思っている努力の量・姿」と、実際にお子さまが行っている行動との間にズレが生じた瞬間、家庭内で衝突や気まずさが生まれるというケースは、決して珍しいものではありません。
「ちゃんとやっているのか分からない」
「本人はやっているつもりでも、こちらには見えない」
こうした不安や不満が積み重なることで、親子関係そのものがギクシャクしてしまうことも多く見受けられます。
大学受験は"本人の受験"である
まず大前提としてお伝えしたいのは、大学受験は最終的に"本人の受験"であるという点です。
小学校受験・中学校受験のように、保護者主導で進める受験とは異なり、高校生以降の進路選択は、本人が自ら考え、決断し、責任を負う段階に入っています。
仮に努力不足によって結果が伴わなかった場合、最も大きな影響を受けるのは本人自身です。その意味で、最終的に「やる・やらない」を決めるのも本人であり、保護者の方が代わりに受験を背負うことはできません。
もちろん、「失敗してほしくない」「後悔させたくない」という保護者の思いは、極めて自然であり、私たちも十分理解しています。
「正論」でも反発が生じやすい
ただし、現実として保護者の方が強く言えば言うほど、本人のやる気が高まるケースは多くありません。
特に高校生の場合、
・「分かっている」
・「今やろうと思っていた」
・「口出しされると逆にやる気がなくなる」
と感じることが多く、保護者の言葉が"正論"であっても、感情面で反発が生じやすいのが実情です。
このようなすれ違いが続くと、努力そのものではなく、親子関係の摩擦によって受験への集中力が削がれてしまうという、本来避けたい状況に陥ってしまいます。
「あえて任せる期間」のすすめ
一定期間(1週間〜2週間程度)、あえて保護者の方が口出しを控え、本人に委ねる時間を設けることをおすすめします。
その期間内に、本人が自律的に行動し、結果として取り組みが見えてくれば問題ありません。
一方で、「任せると言ったが、実際には何も進んでいない」という状態であれば、その時点で初めて、冷静に話し合いの場を設け、方針を再確認することが有効です。
これは「放置」ではなく、一度"任せる"という判断をした上での再確認であり、感情的な衝突を避けるための重要なプロセスです。
時期的な観点:2月〜4月の中だるみ
2月〜4月にかけては、受験生が中だるみしやすい時期でもあります。
学年が切り替わり、「高校3年生になった実感」や「最後の高校生活を楽しみたい気持ち」が先行し、一時的に緊張感が緩むケースも少なくありません。
ただし、多くの場合、本人自身が英語資格・出願時期(9月前後)・評定や書類準備といった現実を、頭では理解しています。
危機感は、外から与えられるものではなく、本人が体感し、腹落ちしたときに初めて本物になります。
そのため私たちとしては、「危機感を持ちなさい」と叱るのではなく、本人が主体的に動かざるを得ない環境を整え、見守ることが最も重要だと考えています。
保護者の方・生徒本人・第三者(塾・学校など)が、この考え方について共通認識(コンセンサス)を持つことができれば、受験期をより円滑に、前向きに進めることが可能になります。